よし、形になったのでいろいろ書きましょう。

1)はじめに ― 各々の構築論について
 まず述べておかないといけないことがあります。それは副題にもありますように構築論についてです。この「パイオニア」というフォーマットは始まってまだ2カ月程度と日がかなり浅く、そのためサンプルデッキリストなるものがほとんど存在していません。例えば「モダン」でアーキタイプ ― バーンを作ろうとしたらデッキリストはおおむね固まっていて、似たような出てきます。それを非難しているわけでは全くなく、それはモダンアーキタイプ ― バーンが最適化されていった結果なので、過去のプレイヤーたちの努力の結晶ともいえるものだと思います。そのため、「パイオニア」ではまだ「デッキ構築」の努力が必要だ、というわけです。もちろん、モダン以下でオリジナルデッキを回している方も多いと思いますし、自分もその一人ではあります。既存のデッキと独自のデッキに優劣をつけることを目標にしているわけではない、ということは理解していただきたい。
 というわけで、「パイオニア」はフォーマット制定されてから日が浅いためカードプール認識、アーキタイプの確立、それぞれについて途中であるというわけです。だからみんな思い思いのデッキを作っているわけですね。ここで重要な「構築論」は人それぞれによって違います。それはカードやデッキの好みによるところが大きいからでもあると思います。そこで自分の大まかな構築論を述べておこうと思います。それは大きく分けて「マナフラ受け・マナスク受け」「4積み」「順位」の3つの柱があります。ここの話をちょっとして、これを踏まえて今回のデッキを作っていきます。
 まずは「マラフラ受け・マナスク受け」です。これはMtGには土地という必要不可欠なカードがあり、それが過剰に手札に来たり(マナフラ)、極度に少なかったり(マナスク)してしまうとゲームにならず、相性差以前に負けてしまいます。そのため、自分はそれを回避することのできるカードに非常に重きを置いています。ここで重要なのは「マナフラ受け」だけのカード、ではなく「マナフラ受け・マナスク受け」のカードということです。例えば「フラッシュバック」持ちカードのようなものです。「パイオニア」においては、「再活」や「占術」がそれに当たると思います。
 次は「4積み」です。これは採用カードは基本的に4枚入れる、というものです。デッキコンセプトを強める意味でそうしてますが、多くは好みの問題でもあります。
 最後に「順位」です。これはかなり好みの分かれるところだと思いますが、自分はデッキを作るに際し、デッキ採用順位というもの(かそれに準ずるもの)があると思っています。例えば《精霊龍、ウギン》を主軸にデッキを作ろうとしたとき、これを1位とし、その後この1位に合うようなカードを2位に据え、1位2位に合うようなカードを3位に据え、、、としてデッキを作ります。これが逆転したようなデッキの方が強い場合は最初の1位を主軸にしたデッキは却下する、そういったものです。つまり、《精霊龍、ウギン》を1位にして、ランプを基調として《世界を揺るがす者、ニッサ》を2位3位に据えて緑系ランプを作るのは自分もよいと思いますが、《金のガチョウ》が4位とかででてきて《王冠泥棒、オーコ》がその下の5位に来たら、順位(デッキに入れる順番)が違う方がいい(強い)と思うのでそういうデッキはよくない(好みじゃない)というわけです。ここまで行くと好みの問題かもしれませんし、言語化する際に誤解が生じやすいのでほどほどにします。
 さて、こんな感じの人がデッキを作っていきますよ、ということで。

2)1位のカードの発表と経緯
 経緯は(https://formicaoperaia.diarynote.jp/201911072330058741/)にて、Yの人さんにコメントでいただいた《砕骨の巨人》を入れたクロックパーミッションの可能性を模索しようとしたことに始まります。実際スタンダードではジェスカイコントロールをすぐに組みました。その辺を書いていないのは、パイオニアに熱意を割きすぎたからですね。今度色々書きましょうかね。結構感触よかったんですよね、ジェスカイコントロール(PWなし)。
 よって、1位のカードは《砕骨の巨人》ですね。コンセプトはクロックパーミッションで。自分はこの《砕骨の巨人》がすごい好きなんですよね。先に述べた「マナフラ受け・マナスク受け」のカードだからです。2マナのカードであり、3マナのカードであり、5マナのカードであるなんて「マナフラ受け・マナスク受け」そのものですもんね。これは《熱烈の神、ハゾレト》にはできない芸当ですね。彼女(ハゾレト)はまずは4マナのカードであるだけなので。

3)2位以下の決定
 1位のカードとデッキコンセプトを決めてしまえばあとは簡単、と思いきや、カウンターは本当にいろんな種類あるんですよね。先んじて言っておかなきゃいけないのは、3色以上のテンポデッキは組まないということです。フェッチランドがない以上、テンポデッキという序盤の土地基盤がない重要なデッキでは3色の安定した土地基盤はかなり厳しいと判断しています。よって色は青赤の2色。ただし、《シヴの浅瀬》や《ラムナプの遺跡》等があるので無色も可能性はあります。
 ここで2位は《頑固な否認》にしました。3マナ4/3という恵まれた体格に合ったカウンターですもんね。となると3位は《塩水生まれの殺し屋》ですかね。青の軽量クリーチャーでパワー4以上をすぐ達成できる点が評価されてのこの順位です。
 ここまで来ればあとはおおむね決まっていきます。確定カウンター+アルファの《イオン化》や軽量クリーチャー除去や最後の詰めに《ショック》、といった感じに(なんで《乱撃斬》じゃないかって? それは強いか分からないデッキにそこまでお金をかけれるほどじゃなかったからです。軽減不可よりもまずは回そう、そういう気持ちでした。)。問題は、《突然の衰微》等の防ぎにくい除去への対処方法でした。ここでストレージを漁っていると見つけたんですね。《クイックリング》を。
 ということで、初期型の完成です。

4)初期型のデッキリストと問題点
 初期型デッキリストは以下の通り。
クリーチャー(10)
4《塩水生まれの殺し屋》
4《砕骨の巨人》
2《クイックリング》
インスタント・ソーサリー(30)
4《選択》
4《頑固な否認》
4《呪文貫き》
4《ショック》
4《非実体化》
4《神秘の論争》
4《イオン化》
2《宝船の巡航》
土地(20)
4《尖塔断の運河》
4《蒸気孔》
3《シヴの浅瀬》
2《硫黄の滝》
7《島》

サイドボード(15)
4《マグマのしぶき》
2《物語の終わり》
3《本質の把捉》
3《提督の命令》
3《稲妻曲げ》

 これをコプターむかしむかし原野禁止前の8人のショップ大会に持って行って思いの外勝ってびっくりしたんですね。
エスパーコントロール○×○
黒単ゾンビ×○○
バントオーコ×○×

 これを回して分かったことはいっぱいありました。《非実体化》はテンポデッキなら強い、《神秘の論争》は青以外のデッキでも最低限のカウンターになる(パイオニアにおける不確定カウンターの信頼性の向上)、《クイックリング》は弱い。。。
 回してみないと意外とわからないもんなんだなと再確認しましたね。《クイックリング》は初手にこれしかない時にマリガンすると同時に抜くことを決めました。

5)弐式の作成と結果
 ここでの反省を生かして、12/07に晴れる屋大阪店で行われた50人規模のパイオニアの大会に出てきました。デッキリストは以下の通り。
クリーチャー(10)
4《塩水生まれの殺し屋》
4《砕骨の巨人》
2《敏捷な妨害術師
インスタント・ソーサリー(30)
4《ショック》
4《選択》
4《頑固な否認》
4《呪文貫き》
4《非実体化》
4《神秘の論争》
4《イオン化》
2《宝船の巡航》
土地(20)
4《尖塔断の運河》
4《蒸気孔》
3《シヴの浅瀬》
2《硫黄の滝》
7《島》

サイドボード(15)
4《マグマのしぶき》
4《紺碧のドレイク
2《ラゾテプの板金鎧
3《本質の把捉》
2《物語の終わり》

赤字が初期型との変更点ですね。結果は4-1。
マルドゥメンター×○○
青白コントロール○×○
ジェスカイPW創案○×○
シミックフード××
青赤ハサミバーン○×○

 4戦目のフードデッキは初手に土地がなくダブルマリガンを余儀なくされたのが悔やまれますね。相手も良いデッキでプレイヤーも巧かったので3戦したかったなあ、と思いました。対戦相手の色を見てみると、赤3人、青3人だったので、メインの《神秘の論争》やサイドの《紺碧のドレイク》の採用が光ったのかな、というのもあります。いわゆるメタ読みが当たった、というものです。
 採用カードについてですが、特に不満のあるカードもなかったですね。新採用の《敏捷な妨害術師》ですが、かなり活躍しました。《クイックリング》とは違って単体でキープできる点もそうですが、《もみ消し》付きのサイクリングが強かったですね。PWの忠誠度能力による除去を躱したり、《爆発域》による除去を躱したり、《排斥》による除去を躱したり。意外と誘発型能力や起動型能力による除去って多いんだなあ、と思わされましたね。

6)参式の作成と結果
 ちょっと思う所あって、12/08にドラゴンスター新京極店で行われた25人規模のパイオニアの大会に出てきました。デッキリストは以下の通り。
クリーチャー(10)
4《塩水生まれの殺し屋》
4《砕骨の巨人》
2《敏捷な妨害術師》
インスタント・ソーサリー(30)
4《ショック》
4《選択》
4《頑固な否認》
3《呪文貫き》
3《非実体化》
2《マグマの噴流
4《神秘の論争》
4《イオン化》
2《宝船の巡航》
土地(20)
4《尖塔断の運河》
4《蒸気孔》
3《シヴの浅瀬》
2《硫黄の滝》
7《島》

サイドボード(15)
4《マグマのしぶき》
4《紺碧のドレイク》
2《ラゾテプの板金鎧》
3《本質の把捉》
2《物語の終わり》

 《マグマの噴流》を試そうと思って出たんですよね。これも先に述べた「マナフラ受け・マナスク受け」のカードであるんでね。ということで試した結果は3-1-1でTop8によるSE1没。
ティムール霊気池○××
グルールミッドレンジ(A)○×○
黒緑鱗巻き付き蛇×○○
青白コントロール○×○
ーーーーーID-----
グルールミッドレンジ(B)×○×

 グルール(A)は《雷破の執政》等のドラゴン基調のミッドレンジで、グルール(B)は《吹き荒れる潜在能力》によるコンボを仕込んだミッドレンジでしたね。(B)はコンボはされないものの殴り負けました。サイド後は普通のクリーチャーデッキしたそうです。
 《マグマの噴流》の使い心地は結構良かったですね。アップキープに撃って占術してから通常ドローをすることにより相手よりも有効牌の枚数が多くなるはずで、それでその時足りないものを探しに行けましたね。このデッキの序盤は欲しいものが明確でない事が多いため《マグマの噴流》は撃たないので、中盤以降の「カウンターはあるけど身がない」とか「身は出てるけど除去がなくて殴りに行けない」という相手の展開によって必要なカードが変わってくる際には無類の強さを発揮するカードでした。対コントロール戦でも《ショック》は抜きたいけど《マグマの噴流》は残したいですね。

7)総評と次回予告
 総じて青赤のクロックパーミッションはかなり強い部類のデッキだと思いました。青白フラッシュとの違いは、「除去の使いやすさ」と「回避能力の有無」ですね。除去は圧倒的に赤の方が強く、回避能力はこの青赤フラッシュには《敏捷な妨害術師》の飛行しかありません。つまりクロックを刻むことが基本的に地上なのでコンバットがすごく難しいデッキではあります。クリーチャーの枚数が10枚という少なさも相まって不用意に相撃ちしてしまうのも危険が伴います。しかし、そのコンバットを使いやすい除去が豊富な赤で助けることでこのデッキが成立しているのだと思いますね。
 次回はこのデッキに採用を検討したカードや検討中のカード、派生形原案等をちょこちょこ書ければいいなあ、と。ではでは。

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